組織開発や人材開発に関する雑感~外部コンサルや事業会社などの視点から~

組織開発や人材開発に関する日々の雑感を不定期で投稿しています。大学の研究員▶︎スクールビジネス▶︎研修会社と人事コンサルを経て、事業会社で組織開発の仕事をしています。

個人が成長するための一丁目一番地②

前回の記事で、人が成長する第一歩は自己認識だと書きました。

 

そして、人が適切な自己認識を持つために必要なことは、『信頼出来る他者』と『日々の対話とフィードバック』というところで記事を終えました。

 

今日はその続き、なぜ、上記の二つが重要なのかを考えてみたいと思います。

 

まず、人が何をきっかけにして自己認識するかについて考えると、これは大半が、「他者とのコミュニケーション」と言って良いと思います。

 

職場の上司や同僚とコミュニケーションする中で、鏡越しに自分を見るように、他者から見た自分に気づかされる。それは、何気ない対話の時もありますし、耳が痛い指摘(フィードバック)を受ける場合もあるでしょう。いずれにせよ、人は他者とのコミュニケーションを通して、自分を客観視します。

 

 次に、そのコミュニケーションを要素分解してみます。

コミュニケーションは、

・何を言うか(what)

・どんな言い方をするか(how)

・誰が言うか(who)

 の3つに分解できます。

※他にどんなシチュエーション(where)もありますが、今回は上の3つに分解します

 

さて、ここで冒頭の『信頼出来る他者』に話を戻します。

特に当人が気づいていないことに関してコミュニケーションを行う時、「誰が言うか」が重要になります。

 

その理由は単純です。人は信頼していない人からの発信や指摘は、素直に受け取れないからです。

それが、認識していない自己に関することであれば、尚更です。

組織内でも、例えば上司/部下間で、「言っていることは理解できるが納得できない」、「言われた内容を曲解する(発信者の意図通り伝わらない)」、「そもそも信頼していない人からの指摘は受け取りたくない」ことが多々あります。

それが当人の自己認識を阻害し、結果、成長の速度を鈍化させます。

マネジャーの視点で考えると、それは部下がワークせず、チームのパフォーマンスを鈍化させることになります。

誰しも、これまで培った経験、認識、感情がある以上、「言われたことを素直に受け入れて、認識する」ためには、「誰からそれを言われるか」が重要です。

 

次に、『対話とフィードバック』がなぜ重要かについて考えます。

 

理由の1つはこれまで記載した通り、人は他者とのコミュニケーションを通して自己認識するためです。

文章などで伝える場合もありますが、どうしても文字にすると、先ほどのコミュニケーションの要素の「伝え方(伝わり方)」に制限がありますし、文字は内容がそのまま相手の頭と感情に刺さるため、耳の痛い話は少々インパクトが大きい場合があります。

他者にフィードバックを行う時は、文字で伝える場合であっても、口頭で補足をするのが良いと思います。

 

もう1つの理由は、「信頼関係は対話の量に比例する」ためです。

バケツ理論というものがありますが、要するに人はお互いのことを良く知っている方が相手を信頼します。そして、お互いを良く知る、いわゆる相互理解は、対話を通して深まっていきます。

 

信頼できる他者と、日々の対話とフィードバック。

直接、且つ、短期的に成果につながる行動ではないため、優先度が下がりがちな部分ではありますが、個人が成長するためには、また、組織が中長期的に成果を出すためには必要不可欠だと感じます。